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造船・ドック作業の熱中症対策— 鋼板の輻射と船艙の閉所暑熱

公開: 2026年9月9日

造船所やドックの作業は、屋外の日射に加え、鋼板からの輻射、船艙・タンク内の閉所環境が重なります。
溶接・塗装・足場が同じ日に並ぶと、休憩のタイミングが工程に飲み込まれやすいです。
本記事ではドック特有の暑熱ポイントと、職種別ブロックで残す記録の考え方を整理します。

ドックの鋼板は晴天時に大きな輻射源になり、足場の日陰でも体感が下がりにくいです。
船艙の閉所溶接は通風が弱く、塗装のマスク着用と重なると休憩のタイミングが工程に飲み込まれます。
職種が混在する現場では、共通のクールスポットと船番つきの記録が、朝礼の指差し確認に直結します。

足場上の溶接は、鋼板輻射に加え姿勢拘束が長いため、同一足場での連続時間も上限管理の対象にします。
詰所へ降りる動線が遠い区画は、中間の日陰デッキを仮のクールスポットとしてカードへ追記します。
追記したら職長ボードを更新し、朝礼の指差し対象をその日のカードに限定します。

1. ドックで熱が積み上がる要因

1-1. 船体鋼板の輻射

晴天時の鋼板は触れないほど熱くなり、日陰の足場でも輻射で体感温度が上がります。
例: 船側外板の溶接で、午前中は風があっても午後は鋼板熱でヘルメット内が蒸れ、同じ姿勢のまま継ぎ手を追う。
建設系の屋外暑熱対策は建設業の熱中症対策と共通する部分が多く、ドックでも「滞在上限+測定」を工程表に載せる運用が有効です。

1-2. 船艙・タンク内の閉所

船艙内は通風が弱く、溶接ヒューム対策の換気と暑熱が同時課題になります。
入槽前のガス検と同じ並びで、入槽時の気温/WBGTと予定滞在時間を記録します。
記録の型は作業環境記録の付け方に合わせ、船番・区画名と紐づけると翌日の引き継ぎが楽です。

1-3. 防護マスク・ヘルメット下の塗装

塗装・ブラストではマスク着用が必須になり、呼気がこもって暑さが増します。
水分を後回しにしない整理はマスク必須と熱中症の誤解を参照し、スプレーガン作業の合間にデッキ上クールダウンを入れます。

2. 職種ブロックで休憩を設計する

2-1. 溶接・足場・塗装を同じクールスポットで回す

職種ごとに休憩場所が散らばると、連絡が遅れます。
ドックサイドの日陰テントや冷房付き詰所を共通クールスポットにし、利用条件を休憩所・クールスポットの記録として残します。

2-2. 入槽ローテの「中・外」交代

船艙内作業は、槽内担当とデッキ外の監視・準備担当を短い間隔で入れ替えます。
入れ替え時刻を作業指示書に残すと、長時間の閉所固定を防げます。
対象作業の切り方は熱中症対策の対象作業と揃え、閉所ラインを必須対象にします。

2-3. ヘルメットを外す場所の固定

落下物リスクがあるエリアでは着用を維持し、詰所でのみ外すルールにします。
外してよい場面の整理はヘルメット着用の誤解整理と社内教育を一致させてください。

3. 元請・協力会社の境界

3-1. 元請の測定があるから自社記録不要、ではない

ドック全体のWBGT掲示と、自社が入っている区画の値は一致しないことがあります。
協力会社側でも区画名つきの記録を残し、管理側だけの誤解と同型の整理で発注条件に落とし込みます。

3-2. 台風・高潮時の中止基準

強風・落雷・浸水リスクと暑熱が重なる日は、作業中止が正当な判断です。
BCPとの接続は台風・停電時のBCPと熱中症を参照し、ドック固有の中止基準表を掲示してください。

4. 船艙溶接日のタイムライン例

例として、午前に船側外板の溶接で鋼板輻射を受け、午後に船艙内の継ぎ手溶接、塗装班は別区画でマスク着用のスプレー、という一日があります。
入槽前はガス検とあわせて気温/WBGTと予定滞在を記録し、槽内担当とデッキ外監視を短い間隔で入れ替えます。
鋼板が触れないほど熱い午後は、外板作業の上限を短くし、詰所でのクールダウンを工程ボードに明示します。
塗装・ブラストのマスク着用区間は、デッキ上での水分タイムをスプレーガン作業の合間に入れます。
職種が違っても共通クールスポット(日陰テントや冷房付き詰所)を使い、連絡の遅れを防ぎます。
元請のドック全体WBGTと、自社が入っている区画の値は一致しないことがあるため、船番・区画名つきの自社記録を残します。
強風・落雷・浸水リスクがある日は、暑熱とあわせて中止基準表を掲示し、熱が理由の中断も正当な判断だと書面化します。
屋内工場棟の組立でも溶接熱で閾値を超えることがあるため、屋外ドックだけを対象にしない運用が必要です。
船艙内での飲食は避け、デッキ上の指定区画で水分を取るルールを職長朝礼で毎回確認します。

5. ドック・船内作業の確認事項

Q1. 屋内工場棟の組立は対象外ですか

屋内でも溶接熱や換気不足で閾値を超えることがあります。
判定の考え方は屋内作業の義務化判定を参照してください。

Q2. 冬場のドックは記録を止めてよいですか

閉所溶接や塗装ブースは通年で暑熱になり得ます。
季節だけで止めるリスクは夏だけ対策の誤解も確認してください。

Q3. 水分は船艙内で取ってよいですか

汚染・転倒・酸欠リスクがあるため、デッキ上の指定区画で取る運用が安全です。
責任の整理は水分補給と事故責任の誤解も参照してください。

Q4. 一人で船艙に入る日は

原則禁止とし、やむを得ない場合は監視者と定時連絡を必須にします。

6. 船番×区画の暑熱カードを工程に貼る

造船・ドックの暑熱対策は、全社ポスターより「船番×区画の暑熱カード」を工程ボードに貼る方が効きます。
鋼板輻射・閉所・塗装マスクのどれが主因か、クールスポットはどこか、入槽ローテの上限は何分かを一枚にまとめると、朝礼で指差し確認できます。
週次の安全会議では、閉所滞在が上限超えだった区画だけを洗い、翌日の人員配置を変えたかどうかを職長が報告する形にすると改善が続きます。
義務化の全体像は熱中症対策義務化の整理で確認しつつ、ドック用語(船番・区画・入槽)で社内ルールを書いてください。

7. 職長ボードの暑熱カード運用

ドックでは職種が混在するため、職長ボードに船番と区画の暑熱カードを貼る運用が朝礼と相性がよいです。
カードには主因(鋼板輻射/閉所/塗装マスク)、クールスポット、入槽ローテ上限、監視者名を書きます。
外板溶接の午後枠は輻射が強いので、上限を短くし詰所クールダウンを必須にする印をカードへ付けます。
船艙作業は入槽前にガス検と環境値をセットで記録し、槽内とデッキ外の交代時刻を残します。
塗装班はデッキ上の水分区画を別に明示し、船艙内飲食を禁止します。
元請掲示のWBGTと自社区画の値を混同しないよう、協力会社側の記録欄を発注条件に入れます。
強風・落雷時は中止基準表をボード横に掲示し、熱が理由の中断も報告対象にします。
週次会議では閉所滞在が上限超えだった区画だけを洗い、翌日の人員配置変更の有無を職長が報告します。

8. 入槽前ブリーフィングの固定文言

船艙入槽前のブリーフィングに、暑熱の固定文言を入れます。
「本日の区画名」「入槽上限分数」「デッキ外監視者」「クールスポット」「中止基準」の五つを声に出して確認し、作業票にチェックを残します。
塗装マスク着用の区画では、デッキ上水分の場所を追加で指差しします。
この一分の確認が、午後の輻射が強い時間帯の省略を防ぐ現実的なゲートになります。
屋内工場棟の組立溶接も、外気の涼しさとは別に測定対象へ入れると抜けが減ります。閉所カードと外板カードで主因が違うことを朝礼で言い分けるだけでも、休憩の取り方が変わります。
塗装ブースや屋内組立でも、ドック外板と同じく滞在上限と測定をカードへ載せ、屋外だけが対象だという誤解を防ぎます。さらに船番が変わったらカードを差し替え、旧カードを残さない運用にします。
入槽上限を超えた報告はヒヤリとして扱い、翌日の区画割に必ず反映します。
旧カードをボードに残すと指差しが曖昧になるため、船番変更時は必ず差し替えます。
ヒヤリ反映の有無を週次で確認すると、同じ区画の上限超えが繰り返されにくくなります。
上限超えの再発が止まった区画は、成功例として職長ボードの端に残します。

9. 注意

本記事は公表資料に基づく一般的な制度・運用の解説であり、法的助言・医療的判断ではありません
自社の状況に応じた最終判断は、労働安全の専門家等にご相談ください。
ネツガード(netsuguard)は方針・手順・記録の整備を支援するツールであり、個別案件の適法性や健康状態の判定を行うものではありません。

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