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道路工事・舗装業の熱中症対策— アスファルト照り返し対策

公開: 2026年8月26日

道路工事・舗装業は、 一般的な建設現場以上に過酷な熱環境で行われる業種です。 アスファルト合材は敷設時に150度前後の高温であり、 さらに黒色のアスファルト路面は 太陽光を吸収して強い照り返しを発生させるため、 気温以上の体感温度に達することが珍しくありません。
加えて、交通規制を伴う工事では 限られた時間内での作業完了が求められることが多く、 熱中症対策のための休憩を 計画に組み込みにくいという構造的な課題もあります。 夜間工事に切り替える現場も増えていますが、 すべての現場で夜間施工が可能なわけではありません。 今日は、道路工事・舗装業特有の 熱中症対策について整理します。 路面からの照り返しは頭上からの直射日光と合わさって 上下から挟み込まれるような熱負荷を生む点が特に注意すべきポイントです。 公共インフラを支える重要な業種だからこそ、 工期優先で対策が後回しにされることのないよう、 発注者・元請け双方の意識づけが求められます。

1. 道路工事特有のリスク要因

1-1. 高温アスファルト合材からの輻射熱

敷設直後のアスファルト合材は 150度前後の高温を保っており、 近くで作業する職人は 強い輻射熱を直接受け続けることになります。
転圧作業を担当するローラー運転手も、 高温の路面に近い位置での作業が続くため、 一般的な建設業以上の熱負荷対策が必要です。 合材を敷き均す作業員は 合材から立ち上る熱気を 至近距離で受け続けることになる点も見過ごせません。 熟練の職人ほど「これくらいなら大丈夫」と 自己判断で作業を続けてしまう傾向があるため、 現場責任者による客観的な声かけが重要になります。

1-2. 路面からの照り返し

舗装済みの黒いアスファルト路面は 太陽光を吸収しやすく、 路面付近の気温は 周辺の気温を大きく上回ることがあります。
WBGT値を測定する際は、 地上気温だけでなく 路面付近の温度も考慮した評価が望ましいとされています。 夏の炎天下では路面温度が60度を超えることもあり、 単なる「暑い日」という認識では対策が不十分になりがちです。 路面用の赤外線温度計を現場に常備している 事業者も増えており、 数値で示すことで作業員の危機意識も高まりやすくなります。

1-3. 交通規制による作業時間の制約

夜間や早朝に限定した交通規制の中で 作業を完了させる必要がある現場では、 計画的な休憩を組み込みにくいという 構造的な難しさがあります。
工程管理の段階から 休憩時間を明確に確保する意識が重要になります。 規制解除時間の直前になるほど 作業を急ぎがちになるため、 終盤ほど意識的な声かけを増やす配慮も有効です。

2. 現場での実践的な対策

2-1. 施工時間帯の見直し

可能な現場では、 早朝・夜間への施工時間シフトを検討することで、 日中の最も気温が高い時間帯の作業を避けることができます。
建設業全般の熱中症対策はこちらも参照してください。

2-2. 冷却装備の活用

空調服・冷却ベスト・氷嚢など、 個人が身につける冷却装備を 積極的に活用することが有効です。
高温のアスファルトに近い場所で作業する職種ほど、 優先的に冷却装備を配布する運用が望ましいです。 個人で購入している職人も多いですが、 事業者側が支給することで 全員が確実に着用する状態を作れます。 安全帯や保護具と同様に、 基本装備の一部として位置づける発想が有効です。

2-3. 交代制・休憩ローテーションの徹底

限られた作業時間の中でも、 人員を交代させながら 休憩を確保するローテーションを組むことで、 一人あたりの連続作業時間を短縮できます。 人員に余裕のない現場では、 近隣の協力会社から応援を得る体制を あらかじめ整えておくことも選択肢になります。
WBGT値と安全則の関係はこちらも参照してください。

3. 塗装・外壁工事との共通点

3-1. 高温面での作業という共通課題

金属屋根・外壁の塗装作業も、 高温になった面の近くでの作業という点で 道路工事と共通するリスクがあります。
塗装・外壁工事の熱中症対策はこちらも参照してください。

3-2. 屋外イベント設営工事との違い

屋外イベントの設営工事とは異なり、 道路工事は交通規制に伴う 時間的制約が特に強い点が特徴です。 イベント設営は開催日程の融通が 比較的利きやすいのに対し、 道路工事は交通量調査や住民合意まで含めた 調整の難しさがある点も異なります。
屋外イベントスタッフの熱中症対策はこちらも参照してください。

3-3. 一人親方・小規模事業者の対応

道路工事は元請け・下請けの重層構造になりやすく、 一人親方として作業する職人も多い業種です。 重層構造の下位に位置する職人ほど 現場の裁量が小さく、 工程優先の圧力を受けやすい構造にも注意が必要です。
一人親方の熱中症対策の考え方はこちらも参照してください。

4. 記録・体制整備のポイント

4-1. 現場ごとの温度記録

工事現場ごとに実施した対策・ WBGT値の測定結果を記録しておくことで、 元請けへの報告資料としても活用できます。 写真付きで記録しておくと、 説明の際に説得力が増すというメリットもあります。
現場別の証拠の出し方はこちらも参照してください。

4-2. 元請け・発注者への報告

公共工事を含む道路工事では、 発注者への体制整備報告が 求められる場合があります。
自治体・公共工事における熱中症対策の考え方はこちらも参照してください。

4-3. 労働衛生教育の実施記録

新規入場者・季節雇用者に対する 熱中症予防教育の実施記録を 残しておくことが重要です。
労働衛生教育の受講記録はこちらも参照してください。

よくある質問

Q. 夜間工事に切り替えれば熱中症対策は不要になりますか?

夜間は気温が下がるため負荷は軽減されますが、 高温のアスファルト合材自体からの熱は残るため、 引き続き一定の対策が必要です。 また夜間作業は疲労の蓄積や視認性の低下といった 別のリスクも伴う点にも注意が必要です。

Q. 交通規制の時間内に休憩を組み込むのが難しい場合はどうすればよいですか?

工程計画の段階で 休憩時間を織り込んだスケジュールを 発注者と事前に協議しておくことが有効です。

Q. 冷却ベストはどのくらいの効果がありますか?

製品によって効果は異なりますが、 体感温度を一定程度下げる効果が期待できるため、 他の対策と組み合わせて活用することが推奨されます。 コストを理由に導入をためらう事業者もありますが、 熱中症による労災リスクと比較すれば 十分に見合う投資といえます。

Q. 一人親方はどう記録を残せばよいですか?

簡易的なメモや写真であっても、 いつ・どのような対策を取ったかを 残しておくことが後々の説明資料になります。

まとめ

道路工事・舗装業は、 高温アスファルト合材からの輻射熱、 路面からの照り返し、 交通規制による時間的制約が重なる 特に過酷な熱環境の業種です。
施工時間帯の見直し、 冷却装備の活用、 交代制の徹底を組み合わせ、 元請け・発注者とも連携しながら 対策を継続することが重要です。 工期の厳しさを理由に対策を省略するのではなく、 安全を優先する現場文化を根づかせることが求められます。 日々の道路を支える現場の安全は、 社会インフラの持続にも直結する課題です。
本記事は運用の観点整理であり、法的助言・医療的な判断ではありません
個別の症状・対応については専門家・医療機関にご確認ください。

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