廃棄物中間処理施設— 熱中症対策
公開: 2026年9月2日
廃棄物中間処理施設は、
焼却炉・破砕機・選別ライン周辺で排熱と臭気が集中する環境です。
屋根下でも機械排熱でWBGTが上昇し、
防護具着用と立位作業が長時間続く点がリスクです。
本記事では中間処理施設を前提にした判断ポイントを整理します。
対策の中心は「処理ライン別実測」と「交替・冷却の固定」です。
焼却前処理と選別作業が同日に重なる日は、
区画ごとにWBGT差が大きくなります。
防護具着用で発汗が増えるため、
通常より多めの水分補給基準を設定します。
換気不良の区画では曇天でもWBGTが上昇するため、
実測値で作業強度を決めます。
臭気が強い日は換気確認を優先し、
異常時は作業を一時中止します。
朝礼では表の該当行を読み上げ、
全員が追加対策を口頭確認します。
体調に不安がある作業者は、
その日の作業強度を一段階下げるルールを設けます。
焼却炉停止後30分は排熱が残るため、
再測定後に近接作業を再開します。
1. 中間処理施設のリスク
1-1. 焼却・乾燥設備周辺
焼却炉や乾燥設備からの排熱により、
近接作業者の体感温度は予報値より高くなります。
WBGT計は作業者の胸元高度に設置し、
焼却前室と選別ラインで別々に測定します。
設備稼働中と停止後30分で数値差が大きい日は、
稼働中の値を判断基準とします。
ボイラー・焼却炉施設の通年高温対策も参照してください。
1-2. 選別・破砕ライン
コンベア上の選別作業は立位が続き、
マスク・手袋着用で発汗が増えます。
30分ごとの交替と15分/時の短休憩を手順に組み込みます。
ごみ収集・廃棄物処理の暑さ対策も参照してください。
1-3. 臭気と換気不良
換気不良の区画では湿度がこもり、
曇天でもWBGTが上昇しやすいです。
局部排気装置の点検記録を夏前に更新し、
故障時の代替換気手順を掲示します。
2. 作業判断とスケジュール
2-1. 重作業時間帯の前倒し
夏場は焼却前処理・選別作業を早朝〜10時に集中し、
午後は点検・事務作業へ切り替えます。
予報WBGTと組み合わせ表を照合し、
午後の重作業投入を原則禁止とする日も決めます。
WBGT予報と作業強度の組み合わせ表と照合してください。
2-2. ライン別ローテーション
同一ラインへの連続投入を避え、
30分ごとに別区画へ移動するローテ表を作成します。
移動時間も休憩としてカウントし、
ローテ未実施日は日報に理由を1行残します。
2-3. 設備停止・点検日の判断
焼却炉停止直後30分は排熱が残るため、
再測定後に作業強度を決めます。
点検接近時間に上限を設け、
2名1組で実施するルールを掲示します。
梅雨時の熱中症リスクも合わせて確認してください。
3. 現場で取るべき対策
3-1. 水分・冷却装備
1人当たり電解質入り飲料2.5リットル以上、
冷却タオル、
冷却ベストを持参必須とします。
持参量不足で出発した場合は作業開始前に事務所へ戻るルールを設けます。
水分・塩分補給の周知と実施記録も参照してください。
3-2. 休息スペース
各処理区画に空調または扇風機付き休息スペースを1か所設け、
15分/時の短休憩を原則とします。
冷却スポットを常備し、
夏前に点検記録を更新します。
3-3. 新人・派遣工の段階投入
施設慣れが不十分な新人は初日は事務所近くの軽作業のみとし、
翌日から段階的に選別ラインへ移行します。
暑熱順化計画書の進捗も同時に確認し、
個人別の移行計画表を用意します。
4. 記録と振り返り
4-1. 区画別WBGT記録
各処理区画入口でWBGTを測定し、
作業短縮・中止を行った日は理由を1行で残します。
区画ごとに数値差が大きい日は高い方をその日の判断基準とします。
事案記録の残し方も参照してください。
4-2. ローテーション実施記録
当日のローテ表と実際の移動記録を照合し、
未実施があれば翌日の重点確認項目にします。
代理応答の有無も同じ行に記載します。
4-3. シーズン終了時の集計
7〜9月の中止・短縮日数、
区画別最高WBGTを集計し、
翌年の設備更新計画へ反映します。
事案ゼロでも振り返り会議を実施し、
換気設備更新の優先順位付けにも活用します。
焼却前区画の短縮日数を別途集計し、
優先改善区画として一覧化します。
5. 作業場所別リスク整理表
5-1. 場所の分類基準
作業場所を「焼却前/選別/搬出」の3区分に分類し、
区分ごとに最低限の対策セットを文書化します。
分類は春のリスクアセスメント更新時に見直します。
5-2. 判断表(例)
| 作業場所 | 追加対策 |
|---|---|
| 焼却前・乾燥区画 | 接近時間上限・2名1組・1時間ごと水分 |
| 選別・破砕ライン | 30分/時交替・冷却ベスト・15分/時休憩 |
| 搬出・積替え | 午前中集中・日陰待機地点指定 |
表は朝礼前に該当行を読み上げ、
その日の追加対策を全員で確認します。
5-3. 表の更新タイミング
処理能力変更や設備更新時は表へ行を追加し、
版数と更新日をフッターに記載します。
更新後は全作業者へ配布し、
旧版回収日も管理台帳に残します。
6. 朝礼と当日判断の流れ
6-1. 出発前5分の確認項目
事務所出発前に「予報WBGT・作業区画・ローテ表・水分携行量・休息地点・連絡間隔」の5項目を口頭確認します。
確認結果は作業日誌の先頭行に記入し、
変更があった場合は理由を同じ行に追記します。
未確認項目がある場合は出発を保留し、
確認完了後に作業を開始します。
6-2. 現場到着後の実測
選別ライン入口でWBGTを1回測定し、
予報より2度以上高い場合は作業開始を30分遅らせるか軽作業へ切り替えます。
測定値・判断・実施した対策を作業環境記録に残し、
午前中に再測定を実施します。
焼却前室と選別ラインで数値差が大きい日は高い方の測定値をその日の判断基準とし、
低い側の作業も同じ基準で短縮します。
6-3. 帰庫時の振り返り1行
各作業者が「今日いちばん暑かった区画」「休憩が足りなかった時間帯」を1行ずつ日報へ記載します。
班長は翌朝前日の記載を読み上げ、
同じ見落としが繰り返されないよう対策を調整します。
週次で集計した振り返り行は安全衛生委員会資料の添付として保管します。
よくある質問
Q. 焼却施設の屋内作業は対象になりますか?
連続1時間以上または1日4時間超の作業があれば対象になり得ます。
排熱で実測WBGTが基準を超える日は同様に管理します。
Q. 臭気による不調と熱中症の切り分けは?
換気異常時は作業を一時中止し、
換気確認後に再開します。
医療的判断は専門家へ委ね、
職場では作業中止と冷却を優先します。
Q. 焼却炉点検時の熱中症対策は?
点検接近時間に上限を設け、
2名1組で実施します。
停止後30分は排熱が残るため、
再測定後に接近を再開します。
Q. 夜間処理も対象ですか?
夜間でも換気不良の区画ではWBGTが基準に達することがあります。
夜間帯も測定と記録を行い、
基準超過時は時間短縮を検討します。
Q. 秋の残暑期も同様ですか?
処理作業は残暑期も続くため、
同様のローテと記録を継続します。
秋口の残暑対策も参照してください。
まとめ
廃棄物中間処理施設は排熱と防護具着用で負荷が高く、
区画別実測と交替作業をセットで運用する必要があります。
早朝作業集中、
区画別記録、
休息スペースの整備を徹底してください。
シーズン終了時に短縮・中止日を集計し、
翌年の設備更新計画へ反映させてください。
注意
本記事は運用の観点整理であり、法的助言・医療的判断ではありません。
個別の症状・対応については 専門家・医療機関にご確認ください。
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